篠笛の選び方 — 種類(調律)・調子・銘で選ぶ
祭囃子や神楽、舞踊の場で、長く親しまれてきた篠笛。各地の祭礼では太鼓に寄り添って旋律を奏で、神楽や舞踊を支え、独奏でも豊かな表情を聞かせてくれます。
宮本卯之助商店には、さまざまな笛師による篠笛が揃っています。「どれを選べばいいのか分からない」という方も、二本目をお探しの方も、自分にぴったりの一本に出会えるよう、3つの軸で順にご案内します。ゆっくりと、ご一緒に選んでいきましょう。

篠笛の選び方
篠笛は、次の3つの軸で考えると、ぐっと選びやすくなります。
- 用途で選ぶ — 祭囃子・神楽・邦楽囃子・独奏・他楽器との共演など、どんな場面で吹きたいか
- 調律で選ぶ — 古典調・邦楽調・ドレミ調(調律笛)の三系統から
- 調子で選ぶ — 一本調子〜十二本調子の中から、どの音域にするか
おすすめの順番は「用途 → 調律 → 調子」。たとえば祭囃子に参加するなら古典調、教室や合奏でドレミ譜を使うならドレミ調(調律笛)、というふうに自然と絞られていきます。迷ったときは、まず所属する団体や先生に聞いてみるのがいちばん確実です。気軽に相談しながら決めていきましょう。
調律で選ぶ — 古典調・邦楽調・ドレミ調の違い
篠笛の調律は、大きく3つに分かれます。それぞれ音色も使う場面も違うので、ご自身の演奏に合う系統を見つけてください。
古典調
指穴の大きさがほぼ均一で、古くから地域に伝わる音階を持つ笛です。六穴と七穴があり、地域や流派によって選ばれ方が変わります。祭囃子に深く根づいた、味わいのある音色。宮本では獅子田・蘭照(古典)・鳳聲などが古典調にあたります。
邦楽調
邦楽の調律に合わせて指穴の大きさを整えた笛です。神楽や長唄の演奏など、邦楽囃子の場で活躍します。宮本がプロの演奏家と共同で作り上げた丸宮印が、この邦楽調系の唄笛です。
ドレミ調(調律笛・唄笛)
西洋音階(ドレミ)に合わせた篠笛で、調律笛・唄笛とも呼ばれます。合奏でほかの楽器と音程を合わせたいとき、ドレミの譜面で練習したいときに心強い一本です。大塚竹管の東雲、秀勝のドレミ調、立平の調律笛、蘭照の唄ものなどがあります。
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調子(本数)で選ぶ
篠笛は一本調子から十二本調子まであり、数字が大きいほど高い音になります。どの調子がよいかは、演奏する地域や曲によって変わります。下の表は、あくまで目安です。所属する連・教室・先生からの指定があれば、それを優先してください。
| 用途 | 調子の目安 |
|---|---|
| 祭囃子(関東) | 五本〜七本調子 |
| 祭囃子(関西) | 七本〜八本調子 |
| 神楽 | 六本調子前後 |
| 舞台演奏(独奏) | 三本〜六本調子 |
| 教室稽古 | 六本調子から始める方が多い |
地域やお囃子連には、それぞれの慣わしがあります。表を出発点にしながら、迷ったら窓口やご来店でお気軽にご相談ください。ご一緒に、ちょうどいい一本を探します。
宮本が扱う篠笛の銘
宮本卯之助商店では、オンラインで複数の銘の篠笛をご用意しています。さらに西浅草店では、ここに載せきれない笛もご覧いただけます。銘ごとに個性があるので、好みや用途に合わせて選んでみてください。
獅子田流(ししだりゅう)— 大塚竹管(おおつかちくかん)
古典調篠笛を代表する系譜で、大塚竹管はその主たる継承者です。宮本でいちばん仕立ての種類が豊富なシリーズで、塗(本漆塗・合成漆塗)、籐巻(両巻・半重・本重)、彫込、蒔絵、燻煙、無地まで幅広く揃います。調律笛「東雲(しののめ)」も、この大塚竹管の笛です。祭囃子・神楽・舞踊の地方演奏で、長く定番として親しまれてきました。
立平(りっぺい)
立平氏が率いる工房の篠笛です。古典調はもちろん、調律笛・茶笛・赤笛・黒笛まで、ラインがとても多彩。竹とグラスファイバーを組み合わせた新素材笛「環」や、ゆふいん源流太鼓モデルなど、新しい挑戦が続いているのも魅力です。これから始める方にも勧めやすい銘です。
丸宮印(まるみや)
宮本卯之助商店がプロの演奏家と共同開発した銘で、邦楽調系を基本とした調律です。御囃子から合奏まで使いやすいよう、ていねいに音を整えています。半調子もご用意しています。
秀勝(ひでかつ)・蘭照(らんじょう)・鳳聲(ほうせい)
- 秀勝 — 真竹の笛です。栃木の竹を中心に、すべて本漆で仕上げています。「蒼虎」「黒虎」、拭漆 天地巻など、ドレミ調を中心とした品揃えです。
- 蘭照 — 篠竹(女竹)を用い、正確な音程と豊かな音量で知られる笛です。古典・唄もの、漆塗り 天地巻・カシュー塗のラインがあります。※現在は制作を一時休止しています(取扱状況はお問い合わせください)。
- 鳳聲 — 古典調の落ち着いた表情の一管で、六本半調子などがあります。江戸囃子で最も選ばれる笛です。
店頭限定の取扱銘
上記のほか、和康(わこう)・太郎笛(たろうぶえ)など、西浅草店ではさまざまな笛師の銘を扱っています。お探しの銘や用途があれば、ご来店やお問い合わせでお気軽にお声がけください。
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仕立て・塗りで選ぶ
篠笛は、塗りと籐巻の仕立てによって、見た目も耐久性も、そして少しだけ音の感じも変わります。長く付き合う一本だからこそ、見比べて選ぶ時間も楽しんでください。

塗り
- 本漆塗り — 漆ならではの深い艶があり、使い込むほどに味が出ます。秀勝は全品が本漆仕上げです。
- 合成漆塗り — 本漆に近い見た目で、価格を抑えた仕上げです。白塗・茶塗・蒔絵などがあります。
籐巻(とうまき)と彫込(ほりこみ)
籐巻は、竹に籐(とう)を巻いて割れを防ぎ、見た目にも趣を添える仕立てです。万一ひびが入っても、籐を巻いた部分で割れの広がりを抑えられます。巻く範囲によって、両端だけの「天地巻」、その中間の「半重」、全体に巻く「総巻」があり、巻くほど丈夫になる一方、音の響きはやや締まります。
籐の留め方には、二通りあります。竹の表面にそのまま巻く「直巻き」と、籐の太さ分だけ溝を彫り、段差が出ないように埋め込む「彫込」です。彫込は手間がかかるぶん価格は上がりますが、表面がなめらかに整い、籐もずれにくく仕上がります。
迷われたら、まずは「天地巻〜半重」あたりが扱いやすく、定番です。長く使い込みたい方や、見た目の華やかさを楽しみたい方は、総巻や本漆塗り、彫込もぜひご検討ください。
初心者の選び方・迷ったときの相談
はじめての一本は、誰でも迷うものです。気負わず、まずはお声がけください。演奏する地域・曲・使う場面を教えていただければ、スタッフがぴったりの候補をご提案します。
- 西浅草店では、実物を手に取りながらご相談いただけます。どうぞお気軽にお立ち寄りください。
- お電話・メール・オンラインショップからのご注文も承ります。
- 篠笛袋、笛師による修理(リペア)、関連書籍など、まわりの品も揃えています。
「どこから選べばいいか分からない」——そんなときこそ、ご相談ください。用途や演奏する地域を伺いながら、店頭やお問い合わせで、ご一緒に候補を見ていきます。文久元年(1861年)から篠笛と歩んできた宮本卯之助商店が、あなたの一本選びをお手伝いします。