宮本卯之助商店

瓦礫で太鼓製作プロジェクト

瓦礫でできた太鼓

東日本大震災が起きた時に、何かできないかという話は社内でも出ていましたが、具体的に何をどうすればいいのかわからない状態でした。
ある日、宮城県の太鼓グループの活動を知りました。仮設住宅などを訪問して演奏し、皆さんを勇気づけたいと活動していたのですが、「太鼓の音が地鳴りの音に似ている」と言われたことで演奏はやめ、太鼓の皮面にメッセージを書いてもらうという活動に変更したそうです。しかし皮面はメッセージですぐにいっぱいになってしまったと聞き、ならば太鼓を提供しようと話はすぐに決まりました。
その関連で被災地とのつながりができ、今度は瓦礫を使って太鼓をつくれないかと話を持ちかけられました。

木材を使える状態に整えることからスタート

水に浸かってしまった木材は使えないので、揺れで崩壊してしまった建物の木材が集まる瓦礫の集積所を教えていただき、震災から3カ月程度経った宮城県に入りました。宿泊先がないため車中泊をしながら、使えそうな木材を集めていきました。
そうして集めた木材を会社に持ち帰りましたが、建物に使われていた木材なので釘が打たれているなど、再利用に良いと言える状態ではありません。木材を切る際に異物にあたり刃物をダメにしてしまったり、よくよく確認してみるとヒビが入っていたりで、太鼓の胴に使える状態の木材にするまでに苦労しましたが、震災瓦礫を使って製造した太鼓を約20基寄贈することができました。
もともと南三陸の沿岸は太鼓が盛んな地域で、子どもからおじいちゃん・おばあちゃんまで太鼓を叩けるというような地域です。
最初は「地鳴りの音に似ている」と敬遠されていた方たちも気持ちが落ち着いてこられてからは、祭りの開催や太鼓の演奏が地域の復興の象徴だと感じられるようになったと思います。瓦礫で太鼓を製作するプロジェクトは一段落しましたがまだこちらに木材もあるので、ご要望があれば太鼓を製造し、東北の皆さんの活動など、お手伝いできることがあれば全力でサポートしたいと考えています。

プロジェクトに参加した社員の声

太鼓はお祭りで活躍するもので、太鼓を所有している方たちや地域と密接につながっています。ですから普段から地域との関わりを大切にしていきたいとは思っていましたが、こういう形で貢献することもできるんだなと改めて思いました。震災後すぐに被災地に行き、現状を目の当たりにしたので、この仕事は絶対にやり遂げなければという思いが強く、自分にとっては人生のターニングポイントになりました。

太鼓部 縫物担当 内藤大輔

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